福島原発行動隊

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2011年 08月 04日

放射性物質のモニタリング

総合モニタリング計画 平成2 3 年8 月2 日 モニタリング調整会議決定 が発表されましたのでご覧下さい。

福島第一原子力発電所事故
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって、運転中の東京電力福島第一原子力発電所の原子炉は緊急に自動停止したが、発電所に電気を送る送電線が地震の揺れでショートしたり、スイッチや変電所の設備が故障したり、送電線の鉄塔1基が倒壊したりしたため、外部からの電源を失った。非常用のディーゼル発電機が起動したものの、地震の約50分後、遡上高14-15メートル(コンピュータ解析では、高さ13.1メートル)の津波が発電所をおそい、地下に設置されていた非常用発電機が海水につかって故障。電気設備、ポンプ、燃料タンクなど多数の設備を損傷し、全交流電源喪失状態に陥った。このため、原子炉や核燃料プール内の使用済み核燃料を冷やすことができなくなり、炉心溶融および圧力容器の損傷を伴う、極めて深刻な原子力事故となった。

1、2、3号機とも、核燃料が原子炉圧力容器の底に溶け落ちるメルトダウンが起き、圧力容器の底に穴が開き、原子炉格納容器も損傷したとみられている[15][14]。1号機は圧力容器の配管部が損傷したと見られている。 また、1、3、4号機の建屋は水素爆発を起こして大破した。
原発から半径20km圏内は、一般市民の立ち入りが原則禁止されている。原子力安全・保安院は、事故により放出されたた放射性物質の総量は計算上85万テラベクレルと解析している[21]。 これにより、広範囲にわたる土壌および海洋汚染が発生した。
事故後の日本政府及び東京電力の対応の遅れも相まって被害が拡大・広範化し、政府、東京電力及び自治体の情報隠蔽など関係各所の自己保身が重なり合い、チェルノブイリ原子力発電所事故と並ぶ、史上最悪の原子力事故のひとつとなった。

福島原発 暴発阻止行動のプロジェクトの一つとして以下に示した活動を開始しようとしています。
1. 収束作業への「福島原発行動隊」の当面の参加
  1) 原発内および周辺 20km 圏内の汚染モニタリングへの参加に要員を派遣
があります、塩谷 副理事長から環境放射線モニタリング指針 平成 20年 3月の資料が送られてきました、具体的な活動内容をお伺いして、この内容に準拠した行動計画を立案する予定です。
測定に関連してSPEEDI についての情報と知識化をしておく必要があります。
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SPEEDI:System for Prediction of Environmental Emergency Dose Informationの頭文字です。

参考資料
環境放射線モニタリング指針 平成 20年 3月
東京電力株式会社福島第1原子力発電所20km圏内の測定結果
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等による計算結果
プルトニウム分析法
大気中放射性物質のモニタリング に関する技術参考資料
原子力防災基礎用語解説
放射線学入門(一般向け緊急被曝ガイド)



緊急時環境放射線モニタリング
  以下の記事はポイントになる第4章の部分について抜書きしました。
原子力施設において、放射性物質又は放射線の異常な放出あるいはそのおそれがある場合に、周辺環境の放射性物質又は放射線の情報を得るために特別に計画された環境モニタリングをいう。平成20年3月の原子力安全委員会において決定された環境放射線モニタリング指針の中では、緊急時の環境放射線モニタリングを「緊急時モニタリング」といっている。 緊急時モニタリングには第1段階と第2段階の二つの段階がある。第1段階のモニタリングは、原子力緊急事態発生直後から開始され、正確さより迅速性を重視して行われるモニタリングで、ここで得られたデータは、SPEEDIネットワークシステムの出力図形とともに、周辺住民の放射線防護の対策決定に重要な役割を果たす。第2段階のモニタリングは、事故状態の予測が確実になり、放射性物質又は放射線の放出が減少してくることが明らかになったとき開始される。事故期間中に風向きの変化や風速などの影響によって広範囲に放射性物質による汚染が広がっている可能性があるので、対象区域は第1段階のモニタリングに比べてより広範囲にわたる。また、第2段階のモニタリングでは、第1段階モニタリングで必要とされた迅速性よりは、正確さが要求される。第2段階のモニタリングの結果は防護対策の解除などに用いられ、風評対策にも活用される。
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第4章 緊急時モニタリング
4-1 目的
緊急時モニタリングは、原子力施設において緊急事態が発生した場合に、避難、飲食物摂取制限等の放射線防護対策(以下「防護対策」という。)に必要な情報を収集し、原子力施設に起因する放射性物質又は放射線の周辺住民等への影響の評価に資することを目的とする。
4-3-1 体制の整備*17
緊急事態が発生した場合、国においては、原子力災害対策本部及び原子力災害現地対策本部が設置される。原子力災害現地対策本部のモニタリング情報の把握を担当するグループ(以下「原子力災害現地対策本部放射線班」という。)は以下のような業務を担う。
① 緊急時モニタリングデータの収集、整理
② 地方公共団体の災害対策本部への緊急時モニタリングの指導・助言
③ 緊急時モニタリングに必要な要員、資機材等に関する調整
④ SPEEDIネットワークシステム(解説K参照)等を活用した住民の被ばく線量予測の実施
⑤ 周辺住民の被ばく線量の評価
⑥ 屋内退避、避難等の実施(解除)区域案の作成
⑦ 飲食物摂取制限の実施(解除)区域案の作成
⑧ 飲食物摂取制限等の措置案のとりまとめ
⑨ 原子力災害対策本部及び地方公共団体の現地災害対策本部のモニタリングに関する業務を担当するグループ(モニタリングセンター等)との連絡・調整
⑩ 緊急時モニタリング等に関する合同対策協議会、記者発表資料の作成

地方公共団体においては、緊急時モニタリング作業を的確かつ円滑に遂行するため、モニタリングセンターとその指揮下のモニタリングチームから成るモニタリング実施組織を設置して対処することが機能的かつ効果的である。この実施組織の役割・機能が十分発揮されるようにあらかじめモニタリングセンター長の任命、モニタリングセンターの設置予定場所、各組織の役割と分担、通信連絡系統等をできるだけ具体的かつ簡明に定め、常に迅速に対応できるようにしておく必要がある。
また、地方公共団体と国が適切に連携できるよう、防災訓練等を通じてより実効性の高い体制を構築していくことが必要である。
モニタリングセンター及びモニタリングチームの主な役割・機能はそれぞれ次のとおりである。
(1) モニタリングセンター
① 計画立案、指揮及び総括
モニタリングセンター長を置き、そのもとで緊急時モニタリングの計画、立案を行うとともに、緊急時モニタリング作業の指揮及び総括を行う。
② 要員、資機材の配置等
緊急時モニタリングチームの編成、資機材の分配等を行う。その際、国等から派遣される専門家又はモニタリング資機材の受入れ、配置について十分円滑かつ効果的になるよう配慮する必要がある。
③ モニタリング情報及び気象情報の収集及び解析
各モニタリングチーム等の測定結果を受けて解析作業を行う。なお、各モニタリングチームとの連絡・通信手段を無線又は有線により確保する必要がある。
また、緊急事態の発生地区の気象データ(原子力事業者の観測データを含む。)を収集し、これとさらに広域の気象データ(地方気象台の観測データ)等をもとに、周辺住民等の被ばく動向の予測に役立つ情報を迅速に提供する。
④ 原子力災害現地対策本部への報告
モニタリングセンター長は、必要に応じて地方公共団体の現地災害対策本部を経由し、原子力災害現地対策本部放射線班から緊急時モニタリングの指導・助言を受けるとともに、モニタリング結果等の報告を行う。
⑤ 地方公共団体の現地対策本部への報告等
モニタリングセンター長は、地方公共団体の現地災害対策本部に対し、モニタリング結果及び原子力災害現地対策本部放射線班による予測線量の推定結果等の必要な事項を迅速かつ的確に報告するとともに、取るべき対策に関して意見を具申する。
(2) モニタリングチーム
① 緊急時モニタリングの実施
空間放射線量率の測定、大気中の放射性物質濃度の測定、環境試料の採取及び放射能の測定等の緊急時モニタリング作業を実施する(解説L参照)。
これらの作業は、その目的・内容ごとにモニタリングチームを編成して行うことが適切である。さらに、環境試料の分析及び精密測定を行う施設をあらかじめ定めておく必要がある。
② モニタリングセンターへの報告
各モニタリングチームは、それぞれの作業結果を迅速かつ的確にモニタリングセンターに報告する。
指定公共機関は現地へ緊急時モニタリング要員及び機材を動員し、地方公共団体の行う緊急時モニタリング活動を支援する。

(1) 第1段階モニタリング
第1段階モニタリングは、原子力緊急事態の発生直後から速やかに開始されるべきものであり、この結果は、放出源の情報、気象情報及びSPEEDIネットワークシステム等から得られる情報とともに、予測線量の推定に用いられ、これに基づいて防護対策に関する判断がなされることとなる。したがってこの段階においては何よりも迅速性が必要であり、第2段階で行われる測定ほど精度は要求されない。
以下に①測定項目、②測定地点又は試料採取地点について述べる(測定方法については文部科学省放射能測定法シリーズ参照)。
① 測定項目*18
1)空間放射線量率
2)大気中の放射性物質の濃度
・大気中の放射性ヨウ素等濃度の測定
・大気中のウラン又はプルトニウムの濃度の測定
3)環境試料(飲料水、葉菜、原乳及び雨水)中の放射性物質の濃度
・環境試料中の放射性ヨウ素等の濃度の測定
・環境試料中のウラン又はプルトニウムの濃度の測定*19
4)積算線量
② 測定地点又は試料採取地点
気象条件、SPEEDIネットワークシステムによる予測結果等を考慮し、次の各地点において空間放射線量率の測定、大気中の放射性物質及び環境試料の採取を行う。
1)最大空間放射線量率出現予測地点*20とその近傍 数点2)大気中の放射性物質の最大濃度の出現予測地点とその近傍 数点3)風下軸を中心とした約60゜の範囲において、大気中の放射性物質の最大濃度の出現予測地点を通り、風下軸と直交する線上 数点4)風下方向の人口密集地帯、集落、退避施設等地点数は当該地域の人口分布等を考慮して適宜決める。
また、退避等の措置が実施された場合には、退避施設等における環境モニタリングを実施すること。
なお、車両を利用して走行しながら空間放射線量率を連続測定した結果や適切な所に車両を一定期間停車させて連続測定した結果は、空間放射線量率の分布を知る上で有効となる。

(2) 第2段階モニタリング
第2段階モニタリングは、事故状態の予測が確実になり、放射性物質又は放射線の放出が減少してきた段階において開始される。同モニタリングについては、第1段階モニタリングで要求される迅速性より正確さが必要となり、周辺住民等の実際の線量の評価と環境中に放出された放射性物質又は放射線の状況の把握に必要な情報の収集活動を行う。そのため、第2段階モニタリングにおいては、積算線量及び人体の被ばく評価に必要となる環境中に放出された放射性物質が対象となる。また、環境モニタリングの実施範囲は、第1段階モニタリングよりさらに広く、その実施頻度については、放射性物質又は放射線の放出の終息以降においても、1日~数日の間隔で行われる。放射性物質又は放射線の放出が継続しないような事故の場合には、第1段階モニタリングから直ちに第2段階モニタリングに移行することもある。
なお、この環境モニタリングの結果は、各種防護対策の解除に用いられる。
以下に①測定項目、②測定地点又は試料採取地点、③環境試料に対する経時変化の追跡について述べる(測定方法については文部科学省放射能測定法シリーズ参照)。
① 測定項目
1)空間放射線量率
2)大気中の放射性物質の濃度
3)次の環境試料中の放射性物質の濃度
(イ)第1段階モニタリング試料と同じもの
(ロ)土壌、植物
(ハ)農畜産物
(ニ)原水(河川、浄水場等)
(ホ)魚介類(河川又は海洋への放出がある場合)
4)積算線量
② 測定地点又は試料採取地点
第1段階モニタリングの結果を参考とし、必要と考えられる地点
③ 環境試料に対する経時変化の追跡
環境中へ放出された放射性物質の状況が、時間的にどのように変化しているかを追跡するため、①3)で対象となっている環境試料のうち、経時変化の追跡が必要と考えられる試料の採取及び測定を一定の時間間隔で行う。

N 機動的なモニタリングの実施体制
異常事態における影響範囲を判断するためには、固定式モニタリングポスト以外に車両、船舶、航空機による機動的なモニタリングも重要な位置を占める。
1. 車両による測定
(1)目 的
車両を用いるモニタリングは、異常事態の状況等に応じて機動的に活動できる利点を十分に生かすことができ、モニタリングポスト等の設置点以外において必要な情報が迅速かつ広範囲に得られるので、緊急時モニタリングにおいて重要な位置を占めるものである。
(2)車両の種類
モニタリングに使用される車両は、一般車両を用いたサーベイ車と特殊車両のモニタリング車の2種類に大別され、モニタリング車は半固定的な連続測定や移動式野外観測室(フィールド・ラボ)のように活用できる。
① サーベイ車 - 一般車両
普通乗用車又はライトバン等の比較的小型の一般車両に、主として可搬型放射線計測器(サーベイメータ、可搬型モニタリングポスト等)、ヨウ素サンプラ(注)、ダストサンプラ、環境試料の採取器具等を搭載したもの
② モニタリング車 - 特殊車両
空間放射線量率の連続測定記録装置、大気中の放射性ヨウ素及び粒子状放射性物質を連続採取し測定する装置、風向風速の連続測定記録装置等を搭載した特殊車両(注)活性炭カートリッジ等が装着可能な可搬型集塵器であって、車両電源により動作可能なものが望ましい。
(3)行動範囲
① 第1段階モニタリング
初期のモニタリングは、施設から放射性物質が放出された場合には、風下側を対象に、風下軸約60°セクター内の範囲においてあらかじめ定められたサーベイルートにしたがって実施する。空間放射線量率の測定(必要に応じて中性子線も対象とする)、大気及び環境試料の採取及び放射性物質の濃度の測定を、予測される最大空間放射線量率地点及び大気中の放射性物質の最大地表濃度地点を中心に、風下軸方向及び風下軸と直角方向に対して各々に実施する。この際、居住地域を考慮して 0.5~1km間隔をめやすに順次車両を移動する。測定した環境試料はモニタリングセンター等へ持ち帰り、精密測定を行う。
また、可搬型モニタリングポスト及び積算線量計を各モニタリング地点に設置又は追加する作業も行う。
さらに、サーベイ車又はモニタリング車を移動させる場合には、常に空間放射線量率測定器を作動状態とし、移動中の各地点における線量率の変化を記録する、いわゆる走行サーベイを実施する。また、必要に応じて、風下軸と直交する方向に放射性プルームを横断しながら走行サーベイを行う。これらは定点での測定で得られる情報を補完し、影響範囲の推定に役立つ。
なお、施設から放射性物質に加え、中性子線及びガンマ線が放出された場合には、施設に近接した地点での空間放射線量率は必ずしも風下方位が高くなるとは限らない点に注意する。
② 第2段階モニタリング
この段階におけるモニタリングにおいても、空間放射線量率等の測定、試料の採取・測定にサーベイ車を活動させるとともに、モニタリング車を有効に活用する。
特に、モニタリング車は、集落、人口密集地域において空間放射線量率、大気中の放射性物質濃度の連続測定に使用可能である。
(4)資機材
モニタリングに使用する車両には、放射線の測定、防護資機材(個人線量計、防護マスク、手袋等の防護具類)、サーベイルート等の地図、モニタリングマニュアル等の必要な資機材を搭載する。資機材の例を〔表N-1〕に示す。
特に機動力に富んだ車両によるモニタリングの特長を最大限に活用させるためには、情報伝達が正確かつ迅速にできるように、通信設備(無線機、携帯電話等)の搭載は必須条件である。このような資機材は緊急時に備え、キット化しておくことが望ましい。

〔表N-1〕 資機材のパッキング例
a)測定器キット
ⅰ)空間放射線量測定用
空間線量率連続モニタ 1式
可搬型モニタリングポスト 1式
可搬型Ge半導体γ線スペクトロメータ 必要数
ガンマ線用サーベイメータ
数0.1μSv/h~数mSv/h 又は数0.1μGy/h~数mGy/h
各方式毎に各1台
中性子線用サーベイメータ(レムカウンタ) 1台
ヨウ素捕集測定装置 1台
直読式の電子式積算線量計 (2mSv 程度) 5本
TLD又は蛍光ガラス線量計 5個
アラームメータ (3mSv 程度) 必要数
ヨウ素用及びダスト用防護マスク、手袋、防護服 3式
モニタリング地図 1枚
記録票 1冊
チェッキング線源 1個
予備電池 必要数
ⅱ)表面汚染測定用
表面汚染検査用サーベイメータ 1台
チェッキング線源 1個
予備電池 必要数
b)試料採取用キット
ⅰ)大気試料採取用
ローボリュームエアサンプラ 30~50L/min 1台
ハイボリュームエアサンプラ ~500L/min 1台
集塵ろ紙 1箱
活性炭カートリッジ 10個
活性炭ろ紙 1箱
モニタリング地図 1枚
風向風速計 1式
ヨウ素用及びダスト用防護マスク 各3個
記録票 1冊
発電機 1台
電源コード 30m 1本
ⅱ)環境試料採取用
容 器 5個
水試料採取用瓶 5個
ピペット 1本
移植コテ 1本
ピンセット 中型、小型 2本
ポリエチレン袋 5枚
ガーゼ 1袋
カットガーゼ 5枚
タグ 1束
テープ 1巻
紙タオル 10枚
ヨウ素用及びダスト用防護マスク 各3個
ゴム手袋 2双
ハサミ 1本
ナイフ 1本
鉛筆 (黒×2、赤・青×1) 3本
マジックペン (黒×2、赤×1) 3本
採取記録票 1冊
試料採取地点を示す地図 1式
照明器具(懐中電灯等) 1式


by svc-monitor | 2011-08-04 13:03 | 勉強会


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